2014/04/30

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釜山インタビュー最終日。チョウ、という新しく開園した動物園前の公園に、炊き出しの施設があり、独居老人や野宿者に無料で食事が配給されている。配給前に、アポを取っていたオモニたちにインタビューをするつもりだったが断られてしまったらしい。集まっていた中から80代の男性にインタビューをする。日本についてと言った途端に、戦時中自分たちがどれだけひどい目にあったのか、という話でヒートアップする。占領時代に関して、多くの韓国人が知識として知っているだけでもかなり熱くなるが、彼の話は自身の体験談だった。略奪されたり、暴力を振るわれたり。もしかしたら、この給食所に集まっている老人のほとんどが体験していることなのかも知れない。場所を移動して公園内で、ハルモニ三人がベンチに並んで休憩しているのを見つけてインタビューを申し込むと快諾してくれる。真ん中のハルモニは101歳だそう(日本では100歳)。両脇も80-90代に見えるが皆本当に元気で、ベンチの足元にはソジュの瓶と紙コップが置いてあった。日本については何にも思ってないよー、といって自作の韓国語の歌と、日本の知ってる歌も二曲披露してくれた。さっきの男性とは対照的なインタビューだったのが面白い。次はプサンジンに移動して大学キャンパス内でインタビューをする。ここは女子大で、秘書課、と呼ばれる、アテンダントやホテルマンを要請する学科が有名でほとんどが髪を後ろでお団子にして制服を着ている。校舎を覗くと飛行機の内部と同じ設計の実習室があったり。秘書課の学生はプロポーションも入学の基準になるらしく、確かに皆綺麗でヒョンジョンはずーっとニヤけていた。笑うな、そのエロチックなスマイルをやめろ、とか言いながら僕もニヤニヤしてしまう。一人、日本に対してあからさまな悪口でインタビューに答える学生がいて、イルドゥの後に僕が話を聞こうと思って出て行くと、まさか日本人がいたとは気がつかなかったようで、僕を見るなり困った声をあげて、済まなそうな顔をしたのが本当に可愛かった。学内のカフェテリアでコーヒーを飲みながら、通訳の李さんと、さっきの学生さんは可愛かったねー、と意気投合する。李さんは40代の女性通訳者で、Jeeaeの公演でついてくれた通訳さんよりも相当できる。福岡の文さんと同じくらい。次に西面の中学校に移動する。ここも女子校で、このセレクションはなんだ、ジョンミョンさんの趣味か、と聞くと、いや女性の方が柔軟な意見を聞かせてくれると思ったから、と返ってくる。本当か?演劇部の女の子たちにインタビューをする。教室の前で待ちながら、李さんに舞踏のことを説明したりして時間を潰す。入口の窓を覗くと、ぷっくりした子が頭にネクタイを巻いて酔っ払いの役をやっているのが見えて笑った。女子中学生相手にインタビューをしたが、ここでも当然のように歴史問題や独島に関する話題が出てくる。子供だけに疑って考えるようなこともなく日本は悪い国だと思っているようで、メディアの情報は大きな影響力を持っていると感じる。私は絶対日本を許さないとか、親類から聞いた、赤人、という北朝鮮に対する蔑称を日本人に対して使っていたりもする。無邪気に毒づいて盛り上がっていく気持ちはよくわかるし、子供だからしょうがないが、暴力にたいしては自覚的であって欲しいと思い、インタビューの後でワザと彼女たちに聞こえるような声で通訳さんに、赤人ってなんですか?、と何度も尋ねると、困ったような顔をして謝りに来た。自分に関係のない人間だと思っているから、いくらでも酷い言葉を投げることができる。ヘイトスピーチを見ていても同じことを感じる。彼ら彼女たちは自分の友人や親類を同じ言葉で罵ることが出来るだろうか。最後に廊下へ移動してインタビューした女の子は親戚に日本人がいるらしく、答える内容も全然違っていた。さっきの生徒たちの意見は恥ずかしい、とも言っていた。通訳の李さんと分かれて、最後はヒップホップの教室で子供達にインタビューをする。参鶏湯を食べて、ジェィフィと合流。僕はベランダでお灸をしたり、ウロウロしたり、適当に過ごす。