2014/04/28

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ホテルをチェックアウトし、財団にパソコンを返しに行く。地下鉄でホテルのロビーに書類を忘れて来たことに気がついて、電話して投函をお願いする。財団の担当者に挨拶をして空港へ向かう。地下鉄が到着した駅は国内線のターミナルで、国際線はここからバスに乗って移動しなければならないということを忘れていて、時間いっぱい。ギリギリでチェックインを済ませて搭乗する。福岡から40分。悪天候でだいぶ揺れる。釜山に着くと雨が降っている。タクシーに乗ろうかと思ったがやめて、何となくこっちだろう、ぐらいの感覚であたりをつけて電車に乗ると見慣れた駅に到着する。雨の中を、これも勘で歩いていくと、見たことのある景色が現れて、目の前のカフェを覗くと韓国チームが勢ぞろいして僕を待っている。待ち合わせ場所も指定されず、街の名前を伝えられただけで、こちらも、わかった、といって全然わかっていなかったが、わかっている。ここに来てようやくwifiが使える。iphoneは完全に壊れているわけではないが、なぜかwifiの電波を受け付けなくなっている。再起動してもネットワーク設定をリセットしても回復しない。福岡のメンバーに加えて、通訳の李さん、LIGディレクターのウーさん。福岡からのお土産を渡してから港の方に移動して、ムーダンの取材。向かったのは海に面した青い屋根の祠で、入ってみるとここはムーダンのいる場所ではなく、地元の龍神を祀る社だった。中を見せて欲しいと頼むが、中にいたハルモニたちにバチが当たると言われて断られる。こういう場所が普通に残っていることが嬉しいし、断られたこともありがたかった。急遽アポなしで近場のムーダンに取材を申し込む。見料をプロデューサーから渡されるがバカ高い金額。後で聞いたら、撮影が入るといった途端に値段を吊り上げられて交渉した金額なのだそう。初めてのムーダンは緊張したが、全然神秘的な雰囲気はなく、目の前に座っているのはただのお婆ちゃんだった。硬貨を投げて表裏を見ながら占うが、通訳してもらって答えを聞く限りでも結構適当な感じで、撮影隊もイライラして横からも質問が入る。ただ、福岡でも聞いた答えで、韓国人と付き合って韓国に住むかも知れない、というのはワクワクしたし、まあ、面白かった。カフェに戻って休憩。何故かウーさんが僕に、友人のコさんと付き合えとしつこく言い始め、終いには本人に電話して話をする羽目に。冗談にしても少し気まずい空気。ウーさんはクンヌナ(大きいお姉さん)、コさんはチャグンヌナ(小さいお姉さん)と呼ぶようにと。次は撮影隊の提案で、カフェの店員にインタビューをする。ベクくんという日本への留学経験もある男の子で、僕からの質問は日本語で、ベクくんの答えは通訳の李さんを通して聞く。ベクくんは梅田くんのライブに出演していそうな雰囲気の子で、早口で時々どもるし、人の目を見て話さない姿が可愛い。今日のインタビューはこれで終わり。僕はボンミルのLIGに顔を出してジェィフィにお土産を渡して、借りていたお金を返す。二人でcafe E chiboで食事。前回の公演の話、セウォル号の事故、韓国と日本のことなど色々話す。僕がワインをボトル一本時間をかけてゆっくり飲む間、ジェィフィは来週からのロンドン出張に関する資料を読んでいた。カフェのスタッフにプレゼントした糸島産柚子胡椒は韓国人でも驚くような辛さだったようで、ワーワー騒いでいた。ジェィフィの車でレジデンススペースに移動して、音楽で参加する地元アーティスト、キムイルドゥと顔合わせ。完全にこちらが年下だと思って舐めてかかって来るので酔っ払ってアーティストぶって返した。

キムイルドゥ 噂は聞いているよ
ネジ どんな?
K お前がゲイだって。
N そうなんだよ、お前みたいなのがタイプだ(相手のちんこを触る)
K で、俺は何をすれば?
N 明日からのインタビューを下敷きにして詩を書いたり、歌をつくったり。
K それだけ?
N それだけ。
K 俺の音楽は馬鹿にはわからないよ。みんな馬鹿だから俺の音楽はわからない。
N へーそうなんだ。
K お前のダンスはどんなダンスだ。
N 僕の踊りも馬鹿にはわからないよ。
K 踊ってみろ。
N さっきからずーっと踊ってるんだけれどわかんなかったの?
K ゲラゲラ
N ゲラゲラ

俺のことはヒョンニム(お兄さま)と呼べ、と言われて、OKヒョン(兄貴)、と返したり、アーティストぶって散々牽制していたのが、生まれ年を言った途端にあっという間に蹴りがついた。イルドゥは僕を10歳ぐらい年下だと思っていたみたいだが、二つしか違わなかった。キムイルドゥと呼んでくれと言われてアーティストごっこ終わり。僕はごっこだけれど向こうはピュアだからな、めんどくさいな。